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おすすめの本 第5回:室橋弘人

おすすめの本や映像作品

『チョコレート戦争』(大石真 作/北田卓史 絵 理論社)

自分から紹介したいのは、大石真さんの『チョコレート戦争』です。

チョコレートのお城が飾られた洋菓子店のショーウィンドウが突然割れてしまうという場面に居合わせてしまった二人の少年は、店主や社長に有無を言わさず犯人と決めつけられてしまいます。

大人たちの横暴で一方的な態度に悔しさを噛みしめる彼らは、抗議のためにチョコレートのお城を盗み出す計画を立てるのですが……というところからお話は二転三転。とにかくテンポよく転がるストーリーと、思わぬ方向から事態の解決に向かう意外性、通されるべき筋が通される爽快感など、物語を読む楽しさがたくさん詰まっている一作で、自分が「本を読むことは面白いんだ!」と感じるようになった原点の一つです。

自分が小さかった頃のことを振り返ってみると、「子どもが大人をやり込める話」というのは、それだけで魅力的ですごくワクワクしたように思います。それはきっと、家族から同年代の友人へと社会関係を広げて成長していく真っ只中にいた少年の背中を、気持ちよく押し出してくれたからではないでしょうか。

ある程度の漢字も読めるようになったくらいのお子様を読書の道に誘う一作としてお勧めします。

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