子どもの社会性の発達研究プロジェクトPEERS(ピアーズ)のウェブサイトです。

おすすめの本 第2回:梅崎高行

おすすめの本や映像作品

『ダーウィンの「種の起源」はじめての進化論』(サビーナ・ラデヴァ 作/福岡伸一 訳 岩波書店)

私がご紹介したいのは、優しいイラストがとても印象的な『ダーウィンの「種の起源」』です。個人的な話となり恐縮ですが、私はダーウィンの仕事に漠とした憧れを抱いています。

1800年代、安全も今ほど保障されていなかったでしょう。その時代に彼は、長い航海に出ました。そして、そこに暮らすへんてこな(!)生き物をじっと観察し、考えて、「人は神によって創られた」という堅固な常識をひっくり返したのです。これを著したのが、かの有名な「種の起源」。でも、なかなか手に取って読むのは大変なんですよね(苦笑)。そんな折に出会ったのが、新しく出版されたこちらの絵本でした。福岡伸一さんの訳も安心できます。読み聞かせにもピッタリで、仕事でお世話になっている保育所へお邪魔するときには、この絵本をお礼に持参するようにしています。

コロナで何かと制限され、大変な状況です。こんなときこそ皆さんと一緒に、適応し、変化していきたい(by ダーウィン)と考えております。

ラジオ体操

PEERSつれづれ

私の住んでいる町はついに,5月末まで小中学校の休校を延長することに決めました。さすがに子どもたちもすることがなくなったようです。手当たり次第,懸賞やらなんやらに応募して,昨日は新聞の意見欄に投書した娘の記事が掲載されました。以下にご紹介させてください。

休校になってから,ラジオ体操を始めた。小学2年生の弟も一緒だ。(略)小学5年生のときまで,運動会でラジオ体操をしていたので,「第1」は完璧だ。弟はといえば,私をチラチラ見ながらだけど,なんとかクリアした。ところが,である。ラジオから「第2」の音楽が流れだすと同時に,2人とも動きがピタッと止まってしまった。(略)覚えていないので,ラジオから聞こえてくる声に合わせて体を動かすけれど,どうも違う。最終的には,弟はオリジナルの体操を完成させてしまった。その動きがおかしく,家族で大笑いした。

(読売新聞 気流 2020年4月28日)

皆さんのご家族は「第2」まで踊れますか?最近ではちょっとしたストレッチや筋力トレーニングの方法なども,3密を避けて自宅で実施できるよう,動画サイトで豊富に紹介されています。ラジオ体操も,健康に様々な効果が認められるようですよ(正しく踊ればですが)。上手に活用して,この時期を健康に乗り越えていきたいと思います。♪新しい朝が来ることを願って。

私とあなた:学生に教えながら感じること 

PEERSつれづれ

私は大学で、保育士を目指す学生を教えています。担当する科目に「保育内容の研究(人間関係)」という授業があり、いつも最初の授業で次のようなことを尋ねています。

「“私”と“あなた”のあいだに線を引いてください」

多くの学生が両方に矢印がある線で引きます。自分とだれかが、お互いに関わり合うことを示すのは簡単なようです。

そこで、次にもう1つ質問してみます。

「“私”と“あなた”と“あなた”のあいだに線をひいてください」

大抵の学生は、少しためらいながら、それぞれのペアのあいだに一本ずつ、双方向の矢印を引きます。そこで次のように話します。

「“私”を“親”に、“あなた”を“姉”に、もう一人の“あなた”を“弟”に、置き換えてみてください」

すると、自分が引いていない線に気づく学生が出始めて、“私”から“あなた”と“あなた”を結ぶ線のあいだや、“あなた”から“私”と“あなた”を引く線の間に矢印を引いたりします。

人同士がどのように関わっているのかばかりでなく、自分がその関係性にどう関わるかという視点は、たくさんの子どもたちと関わる保育士にとってはとても重要な資質です。学生には、この質問を通じて自ら気づいて欲しいと考えています。

私自身は、姉と弟から成るきょうだいの父親でもあります。二人の子ども同士の関係には翻弄されることばかりですが、母親とともに、2人の関係にどう関わるかを日々考え過ごしています。そんななか、ご協力いただく皆さんの調査から、

「ああ、皆さん同じなんだなぁ」(笑)

と、勇気づけられることが多くあります。

子育ての“同志”である皆さんの声をまとめることで、多くの方に少しでも役立つ知見をお伝えしていきたいと思います。

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